【大阪】閉店時の原状回復工事｜流れや依頼のポイントを解説

なぜ原状回復工事が必要なのか

原状回復工事は、法律、契約、トラブル回避のために行います。

まず、法律では、借主は賃貸物件を明け渡す際に、借りたときの状態に戻す義務があるとされています（借地借家法第35条）。建物の老朽化や通常の使用による損耗は除かれますが、借主の責任で生じたキズや汚れなどは修繕する必要があります。

次に、契約では、賃貸借契約書に原状回復に関する特約が定められていることが一般的です。特約には、工事の範囲や費用負担などが記載されているため、契約内容を事前に確認することが重要です。

最後に、トラブル回避のためにも原状回復工事は重要です。工事を行わない場合、敷金の返還をめぐって貸主とトラブルになる可能性があります。また、後継テナントが入居する際に、原状回復が不十分だとトラブルになる可能性もあります。

どんな工事が必要になるのか

工事の種類	内容
内装解体	店舗の内装を解体し、スケルトン状態に戻す工事
設備撤去	エアコンや厨房設備など、店舗に設置された設備を撤去する工事
清掃	店舗全体の清掃を行う工事
その他	状況に応じて、建物の修繕や補修工事が必要になる場合もあります

敷金精算に関するトラブル

原状回復費用は「借主の故意・過失による損耗」のみ借主負担であり、経年劣化や通常損耗は貸主負担となります。

しかし、貸主と借主の間で認識のずれが生じやすく、トラブルに発展することがあります。

例えば、経年劣化によるクロスの張替えを借主負担と請求される、といったケースが発生します。

また、故意・過失の範囲についても争点となる場合があり、小さなキズでも高額な修繕費用を請求されるケースもあります。

このようなトラブルを避けるために、賃貸借契約の特約事項を確認しておくことが重要です。

特約事項に原状回復の範囲や費用負担について明記されていれば、トラブル発生時の判断基準が明確になります。

また、入居時に室内の状態を写真や動画で記録しておくことも有効です。

業者とのトラブル

原状回復工事のトラブルで最も多いのが、業者とのトラブルです。

トラブルを避けるためには、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

業者とのトラブルには、以下のようなものがあります。

トラブルの種類	内容	対策
悪質な追加請求	想定外の工事が必要などと言われ、高額な追加費用を請求される	業者から見積もりを取り、内容を比較検討する
不適切な工事	ずさんな工事や手抜き工事をされる	業者選びを慎重に行い、実績や口コミを確認する
契約内容と異なる工事	契約内容と異なる工事内容で、費用を請求される	契約内容をしっかりと確認し、不明な点は業者に質問する
連絡がつかない	工事の途中で連絡がとれなくなり、工事が中断される	連絡がつきやすい業者を選ぶ

スケジュール管理の難しさ

原状回復工事は、閉店のスケジュールを大きく左右する重要な要素です。スケジュールの遅延は、家賃の追加発生や後継テナントへの引き渡し遅延による違約金など、想定外の出費につながる可能性があります。スムーズな閉店を実現するためには、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。

廃棄物処理の問題

閉店に伴う原状回復工事では、大量の廃棄物が発生し、その適切な処理は環境問題の防止と法律遵守の観点から重要です。廃棄物は種類ごとに適切な処理方法が異なり、木材、金属、コンクリートなどの産業廃棄物と、プラスチック、紙類などの一般廃棄物に分別する必要があります。有害物質を含む場合は特別な処理が必要です。

廃棄物処理には収集運搬費、処理費用などがかかり、量や種類によって変動するため、事前に業者に見積もりを依頼することが重要です。処理は専門業者に委託するのが一般的で、許可の有無、実績、費用などを確認し、契約内容も精査しましょう。

廃棄物の不法投棄は法律で禁止されており、多額の罰金が科せられる可能性があるため、必ず許可を受けた業者に委託しましょう。

後継テナントとの関係

後継テナントとの良好な関係は、スムーズな閉店に不可欠です。特に居抜き物件の場合、後継テナントが既存の内装・設備を引き継げば、原状回復工事費が不要になり、造作譲渡金も期待できます。逆に、引き継ぎがないと多額の原状回復工事費が発生する可能性があります。事前に賃貸借契約書の原状回復義務範囲を確認し、後継テナントと内装・設備の引き継ぎについて十分に話し合うことで、円滑な閉店と費用削減を実現できるでしょう。